エドワードグリーンのチェルシーを検討していて、「サイズ感が分からない」「ラストが違うと何が変わるのか知りたい」と感じている方は多いのではないでしょうか。特に高級靴として知られるブランドだけに、サイズ選びで失敗したくないという思いは強くなりがちです。
エドワードグリーンは、1890年にイギリス・ノーサンプトンで創業した老舗シューメーカーです。ハンドソーンウェルト製法を軸に、長年にわたって英国靴の完成形とも言われる靴作りを続けてきました。華美な装飾や流行を追うのではなく、あくまで「履き心地」「バランス」「品の良さ」を大切にしてきたブランドで、その姿勢は現在のモデルにも受け継がれています。
そんなエドワードグリーンの中でも、チェルシーは特に象徴的なモデルです。内羽根ストレートチップという非常にシンプルなデザインながら、ラストや細部の作り込みによって奥行きのある表情を持ち、ビジネスからフォーマルまで幅広く対応できます。一方で、「タイトに感じる」「ハーフサイズをどうするか迷う」「同じチェルシーなのに履き心地が違う」といった声が多いのも事実です。
その理由は、チェルシーがこれまで202ラスト・82ラスト・606ラストなど、複数の木型で展開されてきた点にあります。エドワードグリーンは足型の違いを重視するブランドであり、その結果としてラストごとのサイズ感やフィット感に明確な差が生まれています。つまり、「エドワードグリーン チェルシー サイズ感」を考えるうえで、ラストの理解は避けて通れません。
この記事では、チェルシーのサイズ感について、ラスト別の特徴や幅（ウィズ）、甲の高さとの相性、履き慣らしの考え方まで、実際の着用感をベースに分かりやすく整理していきます。また、新品だけでなく中古市場という選択肢にもあります。
チェルシーを初めて検討している方はもちろん、すでに候補は決まっているけれどサイズで悩んでいる方にも、判断材料になれば幸いです。
エドワードグリーン「チェルシー」とはどんな革靴？
チェルシーは、エドワードグリーンを代表する内羽根ストレートチップです。いわゆる「キャップトゥ」や「セミブローグ」と比べても装飾が極めて少なく、つま先の一文字と内羽根という最小限の要素だけで構成されています。この潔さこそが、チェルシーが長年にわたり支持されてきた理由の一つです。
フォーマル寄りのデザインでありながら、履いてみると堅すぎない印象があるのもチェルシーの特徴です。スーツはもちろん、ジャケパンスタイルにも自然に馴染み、場面を選ばず使える汎用性の高さがあります。そのため、「最初のエドワードグリーン」としてチェルシーを選ぶ方も少なくありません。
一方で、チェルシーは「誰が履いても同じフィット感になる靴」ではありません。理由はシンプルで、エドワードグリーンが長年にわたり複数のラスト（木型）でチェルシーを展開してきたからです。202ラスト、82ラスト、606ラストなど、同じチェルシーという名前でも履き心地やサイズ感は大きく異なります。
特に初めて検討する方が戸惑いやすいのが、「見た目は似ているのに、なぜこんなにサイズ感が違うのか」という点です。これは、チェルシーがデザインとして完成されているがゆえに、ラストの違いがダイレクトに履き心地へ反映されるモデルだからとも言えます。
つまり、チェルシーのサイズ感を理解するためには、「チェルシー＝このサイズ」という考え方ではなく、「どのラストのチェルシーなのか」という視点が欠かせません。この点を押さえるだけでも、サイズ選びの失敗はかなり減らせるはずです。
次のセクションでは、エドワードグリーン全体のサイズ感傾向を整理しつつ、その中でチェルシーがどのような位置づけにあるのかをもう少し具体的に見ていきます。
エドワードグリーン全体のサイズ感傾向とチェルシーの位置づけ
エドワードグリーンのサイズ感を考える際、まず押さえておきたいのが「全体としてややタイト寄り」というブランド傾向です。これは単純に小さいという意味ではなく、足を包み込むようなフィット感を重視した設計になっている、というニュアンスに近いと言えます。
多くの英国靴と比べると、エドワードグリーンはウエスト周りが絞られ、甲から土踏まずにかけてのホールド感が強めです。そのため、最初に履いた瞬間は「きついかも？」と感じる方も少なくありません。ただし、適正サイズであれば、履き慣らしが進むにつれて足に沿うような感覚に変わっていくことが多いです。
この傾向は、チェルシーにもはっきり表れています。チェルシーは内羽根ストレートチップという構造上、羽根が大きく開かないため、もともと甲周りの調整幅が広くありません。そのため、エドワードグリーン特有のタイトさが、より分かりやすく体感されやすいモデルと言えます。
一方で、チェルシーは「細身で窮屈な靴」というわけではありません。実際には、ラストごとに幅（ウィズ）や甲の高さがしっかり設計されており、足型に合えば非常にバランスの取れたフィット感になります。問題になりやすいのは、「自分の足型に合わないラストを選んでしまった場合」です。
つまり、エドワードグリーン全体のサイズ感を理解したうえで、チェルシーを選ぶなら、「いつもと同じサイズかどうか」よりも、「どのラストなら自分の足に合うか」を基準に考えるのがおすすめです。次のセクションでは、その判断材料となるラストごとの特徴を、具体的に見ていきます。
チェルシーのサイズ感を決める最大の要素「ラスト」
202ラストのサイズ感とフィット感の特徴（
チェルシーを語るうえで、まず外せないのが202ラストです。202ラストは、エドワードグリーンの中でも最も知名度が高く、長年にわたって定番として使われてきた木型です。中古市場でも流通量が多く、「チェルシー＝202ラスト」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
202ラストの特徴は、全体として非常にバランスが良いことです。つま先はややスクエア寄りで、極端に細すぎず、それでいて野暮ったさもありません。幅（ウィズ）は標準的ですが、ウエストから土踏まずにかけてはしっかり絞られており、エドワードグリーンらしいフィット感を感じやすい設計です。
サイズ感としては、「見た目よりもややタイトに感じやすい」と言われることが多いラストです。特に甲の高さが低め〜標準の方は、ジャストサイズを選ぶと、履き始めに甲周りがきつく感じるケースがあります。そのため、ハーフサイズを上げるかどうかで悩む方が多いのも202ラストの特徴です。
ただし、ここで注意したいのは、「タイト＝サイズが合っていない」とは限らない点です。202ラストは、履き慣らしによって革が伸び、足に馴染んでいくことを前提にした設計とも言えます。最初から余裕がありすぎるサイズを選んでしまうと、後々かかとが浮いたり、フィット感が緩く感じたりする可能性もあります。
目安としては、足幅が標準〜やや細め、甲も標準的な方であれば、普段の英国靴サイズと同じか、場合によってはハーフサイズ下げても成立するケースがあります。一方で、甲が高めの方や、履き始めの快適さを重視したい方は、ハーフサイズ上げる選択も現実的です。
202ラストのチェルシーは、「エドワードグリーンらしさ」を最も体感しやすい一方で、サイズ選びの判断が分かれやすいラストでもあります。だからこそ、足型との相性を意識して検討することが重要になります。
82ラストのサイズ感と足型との相性（約900字）
82ラストは、チェルシーの中でも「少し異なる履き心地」を持つラストとして知られています。202ラストと比べると流通量はやや少なめですが、足型によっては82ラストのほうがしっくりくる、という声も少なくありません。
202ラストと比べると82はやや細みでロングノーズでエレガントな印象を与えます。82ラストの大きな特徴は、甲周りにわずかな余裕があることです。つま先の形状は202ラストほどスクエア感が強くなく、やや丸みを帯びた印象になります。そのため、見た目としても少し柔らかく、ビジネス寄りだけでなくカジュアル寄りのスタイルにも合わせやすいと感じる方もいます。
サイズ感としては、「同じサイズ表記でも202ラストより楽に感じる」という評価が多いラストです。特に、甲の高さが標準〜やや高めの方にとっては、履き始めから圧迫感が出にくく、タイトさが苦手な方には選びやすい傾向があります。内羽根のチェルシーでありながら、羽根周りのストレスを感じにくい点は82ラストならではです。
一方で、足幅が細めで、しっかりしたホールド感を好む方の場合、「少し緩く感じる」「フィット感が物足りない」と感じることもあります。その場合、サイズを下げる選択肢も考えられますが、ハーフサイズを下げると今度はつま先が窮屈になるケースもあるため、慎重な判断が必要です。
82ラストは、万人向けというよりも「足型が合う人には非常に快適」なラストと言えます。特に、202ラストで甲がきつかった経験がある方や、長時間履くことを想定している方には、検討する価値があるラストです。
中古市場では、82ラストのチェルシーは「履かれた形跡が少ないのに手放されている」個体も見られます。これはサイズ選びの難しさゆえとも考えられ、実際に足に合えば掘り出し物になりやすいラストとも言えるでしょう。